仕入れ、製造、物流を次々「差別化」
ピンチをチャンスに変え、畳を売る!

株式会社備後ムラカミ

代表取締役 村上学社長

株式会社備後ムラカミ

所在地 広島県福山市金江町金見3183-1
(熊本県八代市に支店を持つ)
創業 1971年
従業員数 30名
売上高 7億3千万円
事業内容 畳表卸、畳製造・抗菌加工畳表パワーズ製造
URL http://www.bingo-tatami.com/

伝統産業が新しいビジネスモデルを確立
広島県福山市 畳製造卸・備後ムラカミ

市場縮小の畳産業、打つ手は?


murakami2.jpg 平均年齢34歳、若い社員が溌剌と働く畳表製造卸会社。それが広島県福山市の備後ムラカミである。
 市場規模がピーク時の半分以下に縮小する畳業界にありながら、新卒者を採用し着々と売上を伸ばす同社は「常識破り」とも称される。しかし、村上学社長の経営は奇策ではなく、むしろ定石を踏まえたものだ。その核心は「その時々に自社が置かれた位置を掴み、差別化を図ること」である。
 象徴的な商品が1998年に発表した抗菌加工畳表「POWERS」だ。当時、世は抗菌ブーム。これを畳に取り入れようと多額の投資をして加工機械を導入した。
 「POWERSの反響は予想以上でした。特徴的な商品があれば総需要が減少しても売上を伸ばせます。POWERSの成功で自信を持ち、若い従業員を迎え入れる会社にと、一気に環境整備を進めました」
 主な取引先は約700店の「町の畳店」。業界では中間問屋を通すのが慣例だが「やむを得ず直接訪問する販売形態にした」(村上社長)のだという。創業が1971年と、同業者で一番歴史の浅い同社は、長年続く中間問屋流通に容易に入り込めなかったのだ。しかし、畳店とのダイレクトなつながりが、その後、強みとなる。
 一方、時代とともに地元、広島・岡山地区において原材料のい草生産が減少すると、熊本、そして中国へと産地を移し仕入れ先を確保。今では中国の四川省に自社工場を稼働させるまでになっている。

沢山売る仕組みづくりへ、IT企業間ネット販売へ


 独自商品を持ち、その時々の流通、仕入れの課題を乗り切ってきた村上社長は、2000年に入り、売上の頭打ちに直面する。
 「訪問販売は足を運んだ先にしか売れません。POWERSを全国の畳店に知ってもらうにはどうしたら良いか。ダイレクトメールは郵送料が高く大量に送れない。それならインターネットはどうかと」
 大手ショッピングモールに加盟して個人向け販売を試みたが、手間の割には売上が伸びなかった。しかし村上社長は、ここでもう一歩考えた。
 「一般消費者ではなく、畳店向けにネット販売をしてはどうか」
 決断すると早速ネット販売の担当者を採用。またネットでは価格の安さが不可欠と、原産地中国で検品までの一連作業を完了させ、コストを抑える体制を作った。
 半年後の9月には、早くもインターネット上での企業間取引「BOS(備後ムラカミ・オンライン・システム)」がスタート。
 業界初の試みは多くのマスコミでも取り上げられ、全国の畳店にBOSを知らせる格好の宣伝機会になった。現在は売上の2割がBOS経由。比例して訪問販売の売上もアップしているという。

受注増を受けて、ITコーディネータの助言を受け販売管理システムを構築


 売上が増えると今度は事務作業の増加が負担になり始めた。500ほどの商品品目を工場別に管理し、受発注や在庫管理をしなければならない。
 「人を増やさずに業務を処理するにはITの力を借りるべき。手書きの台帳をやめ、受注入力をすれば在庫引き落としや納品書への反映が行われるシステムが欲しい」
----新しい販売管理システムが次のテーマとなった。
 システム開発には専門家のアドバイスが必要と判断。福山商工会議所・片岡達樹経営指導員の紹介で、ITコーディネータ久保田浩二氏の協力を得ることができた。
 「建築会社と設計士が別の方が希望に沿った家を建てられる。システム設計も同じだと思います」と村上社長は指摘する。
 久保田氏はシステムの要件整理やベンダーへの提案依頼など、構築をサポートする役割を担った。導入ポイントを次のように説明する。
 「基幹系のパッケージソフトをカスタマイズしました。ベンダーを選ぶ際には提案内容に加え、地域に事務所がありアフターフォローがしっかりしているかどうかを重視しました」
 稼働後は事務作業の効率が上がり、受注増に十分耐えられる社内体制が整ったとのことだ。
 創業者の父とともに会社を伸ばしてきた村上社長は、36年間のビジネスを振り返り、こう表現した。
 「世の中に良い業界などありません。畳業界は大変だといわれますが、新規参入はないし商品開発費もかからない。恵まれた仕事に就いていると思っています」



(ITコーディネータを活用していかがでしたか?)

 専門家派遣はリーズナブルな費用で的確な指摘が受けられる良い制度だと思います。ITコーディネータの活動はまだ知らない人が多いので、もったいないですね。久保田さんは親しみやすく、気兼ねせずに何でも話せる人です。希望に沿ったシステムを形にすることができました。専門家を頼むときは、あらかじめ価値観が合うかどうかを見ておくことも大切だと思います。
(村上社長 談)

 

本事例は、COMPASS2007年秋号(リックテレコム社)に掲載されました。
COMPASS http://www.telecomi.biz/compass.htm

 

 

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支援ITコーディネータ紹介

ITコーディネータ
久保田 浩二
オフィスピット
http://www.office-pit.com/

 村上社長はシステム導入にあたり、専門家のアドバイスを受けるため福山商工会議所に相談。商工会議所内に設置されている福山地域中小企業支援センターの専門家派遣制度を利用して、ITコーディネータ久保田氏のコンサルティングを受けた。
 久保田氏は岡山・広島地区を基盤に「ITを経営に活かすホームドクター」として事業計画の策定、情報戦略、人材育成、情報システムの導入等をサポートしている。
 当時、専門家派遣のマッチング役を務めていた商工会議所の片岡達樹氏は「多くの企業へ専門家を派遣してきましたが、その中でも経営革新につながった良い事例です」と振り返る。久保田氏を選んだ理由については、「すでに勉強会等を通じて会社の特徴を理解していたこと、人格的にこの人なら間違いないと判断したこと」と説明する。
 久保田氏は、ベンダーとの打合せや開発レビューに同席し、内容や金額の妥当性をアドバイスした。派遣は2年にわたり19回に及んだ。

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